厳寒期になるとヤリたくなるもののひとつ。
遠投型ウキを使ったスズキのナイター。ここには自虐的な趣向がともなうものの、寒さに耐えながらウキの灯りを見つめる境地はなかなかオツなものだ。誰もいない港湾や埋め立て地に陣取り、スズキの回遊を待ったり、こちからウキを動かして誘ったり。
現場には明るいうちに入り、水深や潮流れを確認。ケミカルライトを点したら胸がドキドキしてくる。日没は北よりの風が強まってくるが、海面が波気だってくる。軽い荒れ具合を期待する釣りでもある。
エサはイワイソメとアオイソメのミックス。イワイソメを通し刺ししたら針の残ったフトコロにアオイソメ3〜4本をチョン掛けする。アオイソメの5〜6本の房掛けでもいい。
投げる前にエサには光をあてておくと、アオイソメの表面がしばらく蓄光。これがスズキの視認性を高めてくれると信じる。
ウキはケミカルライトを装着できる遠投タイプ。できればアタリによって横倒しになる可倒式が微妙なアタリもとりやすい。ウキ下は水深によって考える。
ここが一番悩むところである。固定式ならアクティブに攻めてゆけるが、その長さには限度がある。遊動式にすればウキ下の調節を可変できるが、あまり深くとりすぎると海底に接地して、ウキ釣りの釣趣の主軸がブレてくる。
季節は真冬。しかも闇のなか。あまり悩んでも致し方なく、ひとヒロちょいの固定式のウキ下でやってみた。
セイゴがアタってきた。群れているらしく、ポツ、ポツと飽きさせなくアタる。この延長線上に、フッコ、スズキはいるのか。自問自答しながらウキを投げて、流す、見つめる。
アタリは、流れていたウキが躊躇するように止まったり、ゆるくシモったり。おかしいな、と思ったらジワリと聞きアワセをしてみる。この時に魚の感触があればアワセる。ウキが消しこむことは、この時期ではまず難しい。
誘いも大切と考える。
ぼんやりと流れるウキの灯りをみつめるよりも、ウキを意図的に留めたり、少しずつだが手前に寄せてきてみたり。暗い海中で浮遊しているエサに若干のアクションをつけて、誘いをかけてみるのも1つの攻め方である。この時に、コンコンとアタリが出ると笑みがこぼれる。北風の中で寒さに耐えながらやっているだけに、生体反応がこれほど嬉しいことはない。
しかし、この日はサイズのアップはならず。ウキ下を変えてみたりもしたが、セイゴの群れだったのか。掛かりの深かった3尾を締めておみやげにした。正直に言えば露出した肌の部分にあたる風がとても痛く、頃合いを見計らっての早あがり。
潮温度の低下とともに魚の臭みが消えるセイゴだが、その根本は魚皮の臭いだ。これを克服するために、1尾を蒸すことにした。中華でいう「清蒸し」である。
水を入れたフライパンに金属の網を敷いて魚をのせる。ショウガ、長ネギを臭い消しに使う。上にアルミホイルをかぶせれば、即製のセイロの出来上がり。
魚体が小さいので、蒸す時間は10分程度だった。
ギンギンに熱した油と醤油をかけたらセイゴの「清蒸し」が完成。魚皮が少々めくれるぐらいがいい塩梅だろうか。シラガネギをのせて身をほぐす。
真冬のセイゴはやせてはいるが、白身魚の王道ともいえる上質の脂分を堪能。昨夜の寒さを忘れさせる旨さ。
あとの2尾は定番的ともいえるソテーで食べた。オリーブオイルにニンニク。軽く塩味と白ワインを効かせて。スズキ類は地中海でも大変人気のある魚であり、やはりオリーブオイルの使用が雰囲気と風味を醸し出す。
気がつくと調理で残った白ワインをすべて飲み干してしまう。頭と身体がポっとなり、海面に漂うケミカライトの灯りを思い浮かべた。