渓流釣りの基本は今も昔も変わることなく「いかに渓流魚に悟られることなく自然に餌を流せるか?」であることに異論はないであろう。 そこにはポイントの選定から流すテクニックまでいろいろな要素、魅力が含まれるが、“流した先にいる渓流魚に喰わせる”という魚任せ、どこか受動的な部分があることも否めない。 福田和彦はそんな渓流釣りに新たに“狙った魚を誘い出して喰わせる”という要素を加えた誘引釣法を提唱する。 この釣りに魅せられ、実釣で研究を重ねてきた福田は、誘引釣法の魅力を「狙って釣った!という1匹の満足感を得られるところです。」と言う。 福田は“DAIWA鮎マスターズ”の優勝経験を持つほどの鮎釣り名人として有名だが、実はフライフィッシングにも没頭しており、渓流釣りの餌となる水生昆虫(川虫など)の生態にも詳しい一面を持っている。 「水生昆虫は流されたら一生懸命川底に戻ろうとするし、羽化の時には水面へ向かって泳いだり、いろいろな動きをみせてくれます。そんな動きに反応するヤマメをみて、この釣法を考えついたんです。」 渓流魚の餌となる水生昆虫(以下、川虫)が一番捕食されやすいのは、何かの理由で流されてしまった時、または羽化する時など無防備な状態である。 まさにその状態を模しているのがフライフィッシングでいうウェットフライであり、日本伝統のテンカラ釣りもその部類に分類される釣法である。 「誘引釣法はそんな川虫の最も捕食されやすい状態を意図的にちょっとオーバーアクション気味に演出する釣りなんです。」 つまり、誘引釣法とは“非ナチュラル的なナチュラルさ”で渓流魚を誘い出す、従来の渓流釣りにとらわれないフライやテンカラ、はたまたルアー的な自由な発想から生まれた“攻める渓流釣り”といえる。 福田が考える“誘いのテクニック”は大きく分けて3つ、 |
水面直下を逆引きして誘う
(1)“引き釣り”
川底から水面まで餌を誘いあげる
(2)“ウェット釣法”
中層から川底へと餌を落とす
(3)“止め釣り”
これらは川虫が羽化する状況、流れにもまれる状況、川底へ戻ろうとする状況を竿操作、流れと仕掛けの抵抗を巧みに利用し、効果的に組み合わせることで魚を誘い出す釣法を誘引釣法と呼んでいる。
さらに福田は「この誘いをずっとやり続けると最近のスレた渓流魚はすぐに見切ってしまいます。“ここだ!”という狙いをつけたポイントで誘うことで、渓流魚は本能的に飛びついてしまう。そこが“攻めの渓流釣り=誘引釣法”の魅力です。」と語る。
また、「誘引釣法の立ち位置はポイントの上流側になり自分よりも下流を釣ります。それも通常の渓流釣りと大きく異なる点ですね。」
それでは、誘引釣法の3大テクニックを詳しく紹介しよう。

(1)引き釣り水面直下を流れに逆らって餌を引くという逆転の発想から生まれた誘いのテクニック。特に川虫の羽化が盛んな春先から初夏にかけて渓流魚が水面を意識しているような状況で効果を発揮する。
アタリは突然水面を割る激しいものから、ほんの僅かに竿先に重みを感じる程度の小さなものまで様々、福田は引き釣りのアタリの出方でその日のパターンを探るという。
「アタリの出方でその時の魚の状況を推測できます。激しいアタリが多い時には魚は比較的川底近くに居る状況、モゾッとしたアタリが多い時にはかなり活性が高く、“引き釣り”で数釣りが望める状況です。」
さらに、引き釣りの注意点を3つ挙げた。
●魚の定位する流れのスジに沿って引くこと
→突然魚の視界に入ることでの反射的な喰いを誘発し、喰い損ないを少なくする。
●引き波が出るスピードで引くこと
→水面の引き波は水面の餌に気づかせる効果が高く、またあまりゆっくり引くと出てきた魚に仕掛けの存在を見切られる。
●魚が出た瞬間に一瞬竿を止めて、魚がエサを持っていきやすくすること
→一瞬止めて乗らない場合には、また引いて誘う。
「引き釣りテクニックこそ誘引釣法最大の醍醐味なので是非実践してみてください!ドキドキしますよ(笑)。」
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(2)ウェット釣法川底を流れる餌が目の前で突然水面へと舞い上がったら…。思わず餌に飛び付いてしまう渓流魚の姿を容易に想像できるだろう。
意図的に魚の目の前でこの誘いを行うのが“ウェット釣法テクニック”であり、福田が誘引釣法を編み出すキッカケとなったテクニックでもある。
「このテクニックは高活性時は勿論、通常の流しで反応しない渓流魚も思わず反応してしまうリアクション効果もあるので低活性時にも効果を発揮します。」
また一見、不自然とも言える餌の動きも、羽化のため川虫が水面に向かって浮上する状態、つまり流れに流されて舞い上がった状態と考えると、単なるリアクション狙いの誘いではないということも理解できる。
アタリが出るタイミングは大きく分けて3パターンあるという。
A:糸を張った瞬間にモゾッと抑えるようなアタリ
→馴染ませている段階ですでに喰っている状況。このアタリが多い時にはナチュラルに流すゼロ釣法スタイルが効果的。
B:仕掛けが浮上途中で止まるアタリ
→餌が舞い上がっている途中で餌を咥えると糸が一瞬止まる。竿を操作している釣り師本人にしか分からないような微妙なアタリだが、これがウェット釣法の典型的なアタリ。
福田曰く、「自然な状態では仕掛けの浮上は絶対に止まらないので、最初は違和感を感じたらすべてアワセてみてください。」
C:水面近くでツンッと出るアタリ
→水面近くは流れが速いので水面近くで餌の動きは加速する。その変化にリアクションで飛びつく時にアタリ。そのまま引き釣りに移行させるとさらに効果的。
引き釣りが視覚的、直感的な面白さを持つのに対し、ウェット釣法はまさにインスピレーション、“感覚の釣り”といえるだろう。
「ウェット釣法は見えない水中をイメージすることが重要です。思った場所で誘い、アタリが出た時に、釣った!という満足感が一番得られる攻めの釣りです。」
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引き釣り・ウェット釣法が川底から水面方向への誘いであるのに対し、上から下(川底)への誘いをかけるのが“止め釣り”テクニック。
先に紹介した2つのテクニックが逃げていくものを追わせるのに対し、止め釣りは目の前に落とし込むので、大きなアクションに反応し難い低活性時に効果的であるばかりでなく、かなり離れた魚にもアピールする。
活性が低く自ら動いてまで捕食しないような状況でも渓流魚は確実に流れてくる餌を見ている。止め釣りはわざと中層を流し、魚に餌を見せておいて突然止め、餌を目の前に自然落下(フリーフォール)させ渓流魚に口を使わせるテクニック。意外と釣り難い流れのゆるいポイントを攻めるのにも有効。
「通常は流しながら仕掛けを止めると仕掛けは舞い上がってしまうのですが、水切れ抵抗の少ない水中糸を使うことによってオモリから先の餌は自分で流れのゆるい所を探して自然に沈みます。それが最大の誘いです。」
アタリはスレた渓魚は早いアタリが多く、スレていない渓魚はモゾモゾとした小さいアタリになるので、竿を止めたら竿先と指先に集中しよう。
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誘引釣法はそのメソッドだけでなくタックルにも様々な釣りに精通している福田ならではのこだわりが詰まっている。
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「丁度フライラインが沈降スピードごとに種類があるような感じですね。」
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メタルや複合メタルの結束に便利なFBノット。市販されているボンドを使うんだけど、今までいろいろ試してみて、やっぱり僕のお気に入りは「コニシボンド G-17」だね。糸との相性がいいのか、ほとんど外れたことないし、簡単に手に入るしね(笑)。
結束方法は下の写真を見て欲しい。カンタンだし、覚えておくと何かと重宝するはず。たとえば、メタル系水中糸と天上糸につなげるつけ糸の結束にも応用できるんだけど、この場合は前日に作ってしっかり乾燥させておくことが必要。そして、ボンドのチューブは、買ってすぐ接着剤にビニールテープを巻き付けておけば、破れてしまった時にポケットの中が大惨事!!なんてことも無くなるよ。
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| 水中糸に接着剤を1.5〜2cmの幅で塗りつける。塗りすぎに注意。 | ハリスを接着剤の下側につけ、上に向かって巻き付ける。 (水中糸を撚るようにすると、上手く巻き付く) | 接着剤上部まで巻き付けたら、折り返して下まで同じように巻き付ける。 | 巻き付けた真ん中にガン玉を付ける。しっかり止めないと抜ける恐れがあるので注意。 |